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ハリケーンの名前は何年も先の分まで決まっている!

Hurricane

アメリカではハリケーンに名前が付けられるのは、多くの方が知っているかと思いますが、ハリケーンの名前は発生前から、しかも何年も先の分まで既に決まっているのをご存知ですか?

先日ハリケーンとタイフーン(台風)の違いについて調査をしブログ記事を書きましたが、その際にアメリカのハリケーンに関して色々と学びましたので、ご紹介をしたいと思います。

ハリケーンの名前

名前付けの歴史

国立ハリケーンセンター(National Hurricane Center: NHC)によると、ハリケーンの名前付けについては、数世紀前の西インド諸島で、セインツ(聖人)の名前がハリケーンに付けられていたのに遡ります。

例えば、

1825年にプエルトリコに甚大な被害をもたらしたハリケーン「サンタ・アナ(Santa Ana)」、そして1876年に同じくプエルトリコを襲ったハリケーン「サン・フェリペ(San Felipe)」などがあります。

その後、イギリス生まれのオーストラリアの気象学者クレメント・ラッジ(Clement Wragge)が、19世紀の終わりにオーストラリア、ニュージーランド地域で発生した熱帯低気圧に「女性の名前」を付け始めました。

それがアメリカにも伝わり、第二次世界大戦中にはアメリカ陸・海軍の気象学者が、太平洋で発生した熱帯低気圧(タイフーン)に自分の妻や彼女の名前を付け始め、大戦後には大西洋で発生した熱帯低気圧(ハリケーン)に軍用のフォネティックアルファベットを名付けるようになりました。

1953年には、NHCが新しいNATOフォネティックコードを使用し「女性の名前」を熱帯低気圧に付ける始め、1978年からは女性と男性両方の名前が使われるようになりました。

OSAクン
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男女平等にってことだね・・・

ハリケーンに名前を付ける理由としては、単純に「分かりやすい」からで、特に複数のハリケーンが同時に発生している時などは、観測所、海上の船、ハリケーンの影響を受けそうな沿岸都市の間で多くのやり取りがされるため、混乱しないように名前を使用するのが一番との判断です。

OSAクン
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確かに日本のように台風X号と言うよりは親しみやすいし、区別も付きやすいかね・・・

ハリケーンの名前付け

ハリケーンの名前ですが、

以前はNHCが名前付をしていましたが、現在は世界気象機関(World Meteorological Organization: WMO)が管理をしています。

実は、ハリケーンの名前は将来の分も含めて既にリストが準備されており、新しい熱帯低気圧(Tropical Strom/Hurricane)が発生次第、そのリストから順番に名前を割り当てていきます。

名前リストですが、今年2020年分も含めて以下の通り6年分準備されており、というより”基本”半永久的に名前リストが用意されています。アルファベットのA、B、Cの順の頭文字で始まる名前がリストとなっており、U、Q、X、Y,Zを除く年毎に21の名前が用意されています。

202020212022202320242025
ArthurAnaAlexArleneAlbertoAndrea
BarthaBillBonnieBretBerylBarry
ChristobalClaudetteColinCindyChrisChantal
DollyDannyDanielleDonDebbyDorian
EdouardElsaEarlEmilyEmestoErin
FayFredFionaFranklinFrancineFernand
GonzaloGraceGastonGertGordonGabrielle
HannaHenriHermineHaroldHeleneHumberto
IsaiasIdaIanIdaliaIsaacImelda
JosephineJulianJuliaJoseJoyceJerry
KyleKateKarlKatiaKirkKaren
LauraLarryLisaLeeLeslieLorenzo
MarcoMindyMartinMargotMiltonMelissa
NanaNicholasNicoleNigelNadineNestor
OmarOdertteOwenOpheliaOscarOlga
PaulettePeterPaulaPhillippePartyPablo
ReneRoseRichardRinaRafaelRebekah
SallySamSharySeanSaraSebastien
TeddyTeresaTobiasTammyTonyTanya
VickyVictorVirginieVinceValerieVan
WillfredWandaWalterWhitneyWilliamWendy
           Atlantic Names– Source: National Hurricane Center               

“基本”半永久的にというのは、実はこの6年分のリストはローテーションして使われ、つまり今年2020年のリストは2026年に再度使用されます。

“基本”としたのは少し例外もあり、大きな被害をもたらしたハリケーンの名前は「引退(retire)」、例えば2005年にアメリカ本土を直撃し、死者1800人以上という近代米史上最悪の自然災害ももたらした「カトリーナ(Kartina)」、そして2012年に東海岸のニューヨーク州やニュージャージー州に甚大な被害を与えた「サンディ(Sandy)」などは、リストから削除され別の名前に置き換えられました。

OSAクン
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6年毎に同じリストを使うのは初めて知った。だから名前に聞き覚えのあるハリケーンがあるんだね・・・

アルファベット21文字の名前リストを使い切ってしまった場合は、ギリシア語のアルファベットに移行します。

実際、今年は熱帯低気圧(Tropical Storm + Hurricane)が多数発生し、アルファベットの21の名前を全て使い切りギリシア文字に移行しており、現在アメリカ本土ルイジアナ州に向かってメキシコ湾を北上しているハリケーン「ゼータ(Zeta)」まで、既に計27個の名前がハリケーンを含む熱帯低気圧に付けられ2005年の最多記録の28個まであとひとつ、最多記録を更新する勢いです。

AlphaEpsilonIotaNuRhoPhi
BetaZetaKappaXiSigmaChi
GammaEtaLambdaOmicronTauPsi
DeltaThetaMuPiUpsilonOmega
             Greek Alphabet – Source: National Hurricane Center
OSAクン
OSAクン

Deltaくらいまでなら時々聞くので知っているけど、その後はよく知らないな〜

ハリケーンでギャンブル?

少し話がそれてしまいますが、アメリカではハリケーンはギャンブルの対象にもなります。

一例になりますが、

Sports Insiderによると、シーズン前の2020年の大西洋のハリケーンシーズンのオッズは以下の通りでした。

The odds for favorites are accompanied by a minus (-) sign, indicating the amount you need to stake to win $100. Meanwhile, the odds for underdogs are accompanied by a positive (+) sign, indicating the amount won for every $100 staked.

上の最初のオッズは、2020年のハリケーンシーズンに大西洋で幾つの熱帯低気圧が発生するか?という賭けで、ハリケーンが14.5以上発生する方がFavorite(勝ち目のある)で、$100を獲得するのには$150を賭けて当たる必要があります。

逆に14.5以下発生するがUnderdog(勝ち目の薄い)で、$100を賭けて当たったら$130を得ることができます。

2つ目は、2020年のハリケーンシーズンに幾つのハリケーン(Tropical Stormは含まず)が発生するかと?いう賭けで、6.5以上発生する方がFavorite(勝ち目のある)で、$100を獲得するのには$180を賭けて当たる必要があります。

逆に6.5以下発生するがUnderdog(勝ち目の薄い)で、こちらに$100を賭けて当たると$150を得ることができます。

今年は既に27の熱帯低気圧が発生、11つのハリケーンが発生しておりますので、両方Favoriteに賭けた人が当たったことになります。

太平洋のハリケーンやタイフーンの名前リスト

先程の大西洋のハリケーンの名前リストだけではなく、実は太平洋のハリケーンにも名前リストが準備されています。太平洋のリストは、アルファベットのQとUを除く24の名前リストとなっています。 また、大西洋と同じく6年分の名前リストで、こちらもローテーションして再利用されます。

202020212022202320242025
AmandaAndresAgathaAdrianAlettaAlvin
BorisBlancaBlasBeatrizBudBarbara
CristinaCarlosCeliaCalvinCarlottaCosme
DouglasDoloresDarbyDoraDanielDalila
ElidaEnriqueEstelleEugeneEmiliaErick
FaustoFeliciaFrankFernandaFabioFlossie
GenevieveGuillermoGeorgetteGregGilmaGil
HernanHildaHowardHilaryHectorHenriette
IselleIgnacioIvetteIrwinIleanaIvo
JulioJimenaJavierJovaJohnJuliette
KarinaKevinKayKennethKristyKiko
LowellLindaLesterLidiaLaneLorena
MarieMartyMadelineMaxMiriamMario
NorbertNoraNewtonNormaNormanNarda
OdalysOlafOrleneOtisOliviaOctave
PoloPamelaPainePilarPaulPriscilla
RachelRickRoslynRamonRosaRaymond
SimonSandraSeymourSelmaSergioSonia
TrudyTerryTinaToddTaraTico
VanceVivianVirgilVeronicaVicenteVelma
WinnieWaldoWinifredWileyWillaWallis
XavierXinaXavierXinaXavierXina
YolandaYorkYolandaYorkYolandaYork
ZekeZeldaZekeZeldaZekeZelda
           Eastern North Pacific Names – Source: National Hurricane Center

日本では、

台風X号と番号方式が採用されていますが、大きな被害をもたらした台風には別に名前が付けられることもあります。古くは昭和34年に紀伊半島沿岸と伊勢湾沿岸に高潮被害をもたらした「伊勢湾台風」、近年ですと令和元年に東日本の広域に記録的な大雨による多数の河川氾濫被害を起こした「東日本台風」などがそれにあたります。

気象庁によると、世界気象機関 (World Meteorological Organization:WMO)の傘下組織で、北西太平洋または南シナ海で発生する台風(タイフーン)防災に関する、日本を含む14カ国が加盟する台風委員会(Typhoon Committee)が、2000年から北西太平洋または南シナ海の領域で発生するタイフーン(台風)に、「共通のアジア名」として固有の名前(加盟国などが提案した名前)を付けることにしました。

14カ国が10個づつ名前を出し合い計140個の名前リストが作成され、日本からも星座の名前から、こいぬ(Koinu)、うさぎ(Usagi)、かんむり(Kammuri)、こぐま(Koguma)、とかげ(Tokage)、やぎ(Yagi)、かじき(Kajiki)、くじら(Kujira)、コンパス(Kompasu)、やまねこ(Yamaneko)を提案しました。

WMOの台風委員会により作成された140個の名前リストから順番に台風に名前を割り当て、一巡するとリストの最初に戻ります。

ハリケーンのカテゴリー

アメリカに住んでいると、ハリケーンのニュースで必ずカテゴリー1とかカテゴリー2とか「カテゴリー」という言葉を耳にしますが、アメリカではハリケーンをカテゴリー1〜5に区分してハリケーンの強さを表しています。

NHCによると、ハリケーンのカテゴリー区分には、サファ・シンプソン・ハリケーン・ウィンド・スケール(Saffir-Simpson hurricane wind scale:SSHWS)と呼ばれる、1分間以上持続する最大平均風速に基づいてハリケーンの強さを区分する尺度が使われ、カテゴリー1が一番弱く、カテゴリー5が一番強いハリケーンとなります。

    Source: Wikipedia                                         

カテゴリー3以上になると「Major Hurricane」と表現され、甚大な被害をもたらす恐れがあります。

OSAクン
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2005年のハリケーン「カトリーナ」がニューオリンズ近くに上陸した時には、カテゴリー4だったそうだよ・・・

ハリケーンと地球温暖化の関係

今年既に史上最多の27の熱帯低気圧が命名されているのが良い例ですが、

近年ハリケーンを含む熱帯低気圧の発生数が以前より増えており、加えてハリケーンは大型化し進行速度も速くなっているとも言われています。

「地球温暖化がハリケーンの活動を活発にしている」と唱える科学者も数多くいますが、地球物理流体力学研究所(Geophysical Fluid Dynamics Laboratory: GFDL)の最新の研究レポートによると、

温室効果ガス(greenhouse gas)が地球温暖化の大きな要因のひとつであるとしつつも、それが大西洋におけるハリケーン活動の活発化の要因になっているとは、観測データの制限もあり断定はできないとして、地球温暖化とハリケーンの直接の関係を肯定しておりません(否定もしていません)。

これに関しては、温室効果ガス(greenhouse gas)と地球温暖化の関係のように、当面は科学者の間で議論が続きながら、観測データの蓄積とともに少しづつ関連性について証明されていくのではと思われます。

おわりに

大きな台風被害があった昨年とは違い、日本では今年は台風の発生数も少なく、日本本土を直撃した台風は何とゼロでした。

アメリカの熱帯性低気圧数は現在最多タイ、大西洋では11月末までがハリケーンシーズンですので、最多記録更新をする可能性はありますが、アメリカ本土大きな被害をもたらしたハリケーンは、近年では少ない方でした。

しかしながら、

「専門家でないのです詳しいことは分かりませんが」と断りを入れた上で、

熱帯低気圧の発生には沢山の水蒸気が必要なので、通常熱帯低気圧は熱帯の海水温度が高い海で発生しますが、素人的には地球温暖化が進むことにより海水の温度も上がり、海水から水蒸気の蒸発もより盛んになり、より多くの熱帯低気圧が発生しやすくなるのでは?と思います。

しかも、より多くの水蒸気を含んだ熱帯低気圧は、強い熱帯低気圧やハリケーンへと発達することにもなりますし、地球の温暖化と近年のハリーケーンの活発化が全く関係ないとは到底思えません。

地球温暖化対策を加速させないと、近い内に誰もがギリシア語のアルファベットをスラスラ言えるような時代が来てしまいそうでとても心配です。

と書いた矢先に、

丁度今Breaking Newsとしてハリケーン「ゼータ(Zeta)」がカテゴリー2のハリケーンとしてルイジアナ州に上陸したとのニュースが飛び込んで来ました。

ハリケーン「ゼータ(Zeta)」の被害が大きくならないこと、そして今年最後のハリケーンになることを願いつつ・・・

Stay safe and healthy! 👍