Amazonが10月13日(火)・14(水)のPrime Day開催を発表すると同時に、そのニュースを待ってましたとばかりに、WalmartとTargetが独自の便乗(?)セール開催を発表しました。
Prime Dayの規模が年々大きくなるにつれ、WalmartやTargetをはじめ競合各社がAmazonのPrime Dayを商機と捉え、Amazon Prime Day便乗し独自のセールを開催するのが例年行事となっています。
元々7月に開催が予定されていたAmazonのPrime Dayですが、今年はコロナの影響で10月に延期されましたが、事前のプロモーションからも今年のPrime DayにかけるAmazonの強い意気込みが感じられますが、WalmartやTargetが間髪入れずに独自のセールを発表し、これまでの便乗というより「対抗」セールの様相です。
10月というホリデーショッピング前のタイミングに敢えて開催されるにも拘らず、例年以上にリテイラーの意気込みを感じる、2020年のAmazon Prime Dayと競合のWalmartやTargetの対抗セールの背景について調べてみました。
コロナ渦の米国のeコマースリテーラー状況
eMarketerによると、2020年2月時点でAmazonは米国のeコマースリテールセールスの40%近くを占め、2位のWalmartの5.3%を大きく引き離し圧倒的な地位にあります。
2020年3月に、世界保健機関(World Health Organization: WHO)が新型コロナウイルスのパンデミック宣言をしてから、人々の生活様式やショッピングスタイルは大きく変化し、eコマースが急成長するとともに、Amazon一人勝ちであった米国のeコマースリテールの状況も少し変わってきました。
アメリカ合衆国勢調査局(Census Bureau of the Department of Commerce)のCensus Bureau Newsよると、2020年Q2(4月〜6月)の米国のeコマースセールスは前年同期比で44.5%アップ、前四半期(Q1)と比較しても31.8%上昇しました。
勿論Amazonも前年同期比成長率は43%と大きく売上を伸ばし、eコマースセールス全体を押し上げる成長を遂げましたが、注目すべきはAmazonの競合となる各社のQ2成長率です。
eコマースセールス2位のWalmartは前年同期比97%アップ、5位のHome Depotは100%、7位のBest Buyは242%、8位のTargetは195%アップとコロナ渦驚異的な成長率で、皮肉にもコロナは「Brick and Mortar」形態のリテーラーが多い競合各社の店舗売上の落ち込みをカバーし、ひいてはeコマースを最重要・最優先とする戦略変更を強いられることで、eコマースセールスでのAmazon追撃のきっかけをもたらしました。
2020年のAmazon Prime Dayと対抗セールの裏事情
コロナによる影響がAmazonのサプライヤーやセラー、そしてAmazonのFulfillment Center(流通倉庫)に広がる中、例年7月に開催されているAmazonの年に一度の大感謝祭であるPrime Dayが延期された時には、「11月末にはBlack FridayとCyber Monday、12月にはChristmasセールがあるため、年内のPrime Day開催は難しいのでは?」との声も多く聞かれましたが、実際にはAmazonは10月13日・14日の開催を決めました。
コロナ感染は未だに収まらないもののピークは過ぎた模様で、サプライヤー・セラーの状況も少し落ち着き、全米で約110あるFulfillment Center(流通倉庫)も平常に戻りつつあるのがひとつの要因ですが、もうひとつの大きな要因は、先行き不透明なまま迎えるホリデーシーズンへの対応策とも言われています。
アメリカ大統領選
一つ目の不透明要因は11月3日(火)に行われるアメリカ大統領選です。
今年の大統領選ですが、コロナの影響で数百万人の有権者が郵便投票を行うと予想されています。トランプ大統領は郵便投票に対して、「投票権のない人が票を投じたり、不正を招く恐れがある」と強く反対をしています。
郵便投票が既に始まっている中、9月23日(水)のホワイトハウスでの記者会見では、郵便投票の不正の可能性を示唆し、11月の大統領選に負けた場合の平和的な政権譲渡に関する明言を避け、もし大統領選で負けても、郵便投票の集計に不正があったことを理由に選挙無効を最高裁に上訴し、大きな混乱が起こる可能性もあります。
どちらの候補が勝っても、「何か」が起こりそうで大統領選後にアメリカが混乱し、それがアメリカ経済や人々の日常生活に、そしてBlack Friday、Cyber Monday、Christmasセールにも影響を与える可能性があります。
コロナ第3波
2つ目の不透明要因はコロナの第3波です。
7月半ばのピーク時には1日の新規感染者数が7万人台であったことと比べると、ここ1ヶ月程は3万人〜5万人の間を上下しておりやや落ち着きつつある感もある一方、中西部なとでは新規感染者数が再び増え始めており、これから寒くなるにつれコロナ第3波を懸念する専門家も多数います。
そんな矢先にトランプ大統領夫妻の新型コロナ陽性判定のニュースが飛び込んできて、「第3波が来るのでは?」と感じ始めた人も少なくないと思います。
第3波がくれば再度全米シャットダウンのような措置が取られるかもしれませんし、仮に全米シャットダウンにならないとしても、回復しつつある経済活動に水を差し、グローサリーなどのエッセンシャル用品の購入は別として、これからのホリデーシーズンのeコマースセールスにも大きなマイナス影響を与えることが容易に想像できます。
勿論、サプライチェーンにも大きな影響がでるでしょうし、もし現在全米に約110あるAmazonのFullfillment Center (流通倉庫)でコロナのクラスター感染が発生でもしたら、そのクラスター発生の倉庫はシャットダウンを強いられる可能性もあり、商品配送に大きな影響をもたらします。
Amazonはこれらの不測の事態も考慮に入れ、万一何が起こってもQ4(10月〜12月)セールスに大きな影響がでないように、加えて、10月のPrime Dayも含めてHoliday Shoppingシーズンを長くすることにより、まだ100%回復していないサプライチェーンの負担を分散化させるために、コロナが少し収まりつつあり大統領選の混乱もない、「10月という隙間」を狙ってPrime Dayの開催を決定したと考えられます。
また、コロナ渦オンラインショッピングを始めた消費者、あるいAmazon以外のeコマースリテイラーでも購入を始めた比較的新しいオンライン顧客に、Free Prime TrialにてPrime Dayに参加をしてもらい、価格・サービス・品数などでAmazonの圧倒的な強さを見せつけることにより、それらの新しい顧客層を完全に取り込むのも、今回のPrime Dayの大きなゴールのひとつだと思います。
ですので、Amazonが今回のPrime Dayにかける意気込みは例年以上で、Early Prime DayセールアイテムややPrime Day Creditを頻発し、プライム会員に対して「どのようにPrime Dayの準備をするか」、例えばAmazonのAppをダウンロードしてセール品の案内を受け取る方法を懇切丁寧に説明しています。
WalmartやTargetなどの競合各社にとっても事情は同じで、もしコロナの第3波がくると店舗を持つリテーラーにとっては更にダメージが大きくなりますので、Q2でのeコマースセールスでの大成長の勢いを止めることなくeコマース重視の戦略の下、Prime Dayに対抗しての独自セール開催を打ち出しました。
WalmartとTargetの対抗セール
現時点ではWalmartとTargetが大々的に独自のセール開催を発表しておりますが、昨年のPrime DayにCrash SaleをぶつけたeBay、Q2にeコマースの大躍進を遂げたBest Buyをはじめ、Home Depot、Lowe’s、Macy’sなども、Prime Day期間あるいはPrime Day前後にセールを開催すると思われます。
セールが近づくにつれ、他の競合各社も含めもっと情報がでてくると思いますが、現時点で分かっている内容をご紹介します。
Walmart “Big Save” Event
Walmartは、“Big Save”と称したオンラインセールをPrime Dayに対抗して行います。
Prime Dayより一足早く10月11日(日)7PM ESTからスタートし10月15日(木)まで開催されます。
Black Fridayセールのように、エレクトロニクス、玩具、アパレルなど数千点の商品がセール対象となるそうで、既にセールアイテムの一部が紹介されています。
- JVC 55″ 4K HDR Roku Smart LED TV – $248 (orig. $399)
- Super Mario Party video game for Nintendo Switch – $39.99 (orig. $59.88)
- Roku Ultra LT Streaming Media Player – $69 (orig. $79)
- Pioneer Woman 6 Quart Instant Pot – $49 (orig. $99)
- Tzumi Ion Robotic Vacuum – $99 (orig. $179.88)
- Best Choice Products 250-Piece Kids STEM 3D Magnetic Building Blocks Play Set (Marketplace Item) – $64.99 (orig. $114.99)
- Hunter Women’s Original Tall Rain Boots (Marketplace Item) – $59.99 (orig. $79.99)
- Scoop Women’s Printed Maxi Shirt Dress – $39.99 (orig. $59)
Target “Deal Days”
Targetは、“Deal Days”と称しPrime Dayと全く同じ日程の10月13日(火)・14日(水)の2日間に対抗セールを開催します。Deal Daysではエレクトロニクス、ホーム、玩具、ビューティー、アパレルなど数十万点以上の商品がセールとなります。
未だアイテムに関する情報はありませんが、代表的なセールアイテムは10月5日(月)から順次公表されるそうです。
Amazonとの差別化を計るために、Targetは同日の実店舗でのDrive Upと呼ばれる商品コンタクトレスPick Upと同日配送をアピールしています。
また、TargetはBlack Friday Saleを11月1日から11月末までの一月間に渡り開催し、加えてBlack Friday対象アイテムに対してのPrice Match Guaranteeの期間を、通常の14日間から11月1日から12月24日の期間にすると発表しました。
今年のTargetは気合満々だね。早くセールアイテムを知りたいな・・・
これらTargetのDeal Daysの開催とBlack Friday Saleを11月を通して行う決定も、Amazonへ対抗するとともに、米国大統領選による混乱やコロナの第3波に対する不測の事態に備えての対応策で、セール期間を長くすることにより、コロナ渦流通倉庫や店舗のマンパワー、そして店舗への訪問客を一時に集中させずに分散化させるのが狙いかと思われます。
おわりに
Amazonの10月のPrime Day開催、そしてWalmartやTargetをはじめとする競合各社の対抗セールは、先行き不透明なまま迎えるホリデーシーズンへの対応策でもあります。
Black Fridayに関しても、米国大統領選による混乱やコロナの第3波など11月から年末に関して不透明感が強く、またコロナの影響で同時期にシーズナルワーカーの確保が難しいだけでなく、充分な訓練を受けていないシーズナルワーカーが同時期に流通倉庫や店舗に集中することで、コロナ感染のリスクも高くなることから、TargetのようにBlack Fridayセール早めに開催するリテーラーも多くなると思います。
WalmartやTarget以外の競合各社のPrime Day前後のセールも近々発表されると思いますが、われわれ消費者も溢れるセール情報に惑わされず、かしこく必要な物の買い物をしないといけないですね・・・
Prime Day、対抗セール、Black Friday/Cyber Monday、Christmasセールと主役はオンラインショッピングになると思いますので、当サイトも皆さんのお役に立てるようなお買い得・セール情報のご紹介を心掛けたいと思います。
これからのシーズン、お買い得情報収集と紹介にがんばりたいます・・・!
Stay safe and healthy, and then happy shopping! 😃