
10月1日から始まる2021年会計年度の暫定予算案では、与野党が合意し12月11日まで連邦政府予算を確保し、新型コロナウイルス追加経済対策協議中断含め、大統領選前の政府閉鎖による混乱は避けられそうです。
一方で、
肝心の新型コロナウイルス追加経済対策に関しては、11月3日(火)に行われる大統領選を睨んで、ホワイトハウスと民主党それぞれの思惑が交錯し協議が難航しており、追加の$1200のStimulus Check(給付金)を待っている多くの人々をヤキモキさせています。
また、9月末には航空会社向けの雇用維持策が失効し、追加経済対策による航空会社救済策が発動されないと、10月には航空会社関連だけで約10万人規模のレイオフが避けられず、双方待ったなしの状況下与野党間の駆け引きが続いており、9月末までの追加経済対策の基本合意が非常に微妙な状況です。
そんな中、7月末に失効した失業保険の上乗せの延長措置として、8月8日にトランプ大統領が大統領令に署名し発動された週$400の上乗せ支給ですが、$400のうち$100は各州が負担するとされたため、当初は野党・民主党知事の州などからは「すでに州政府の予算は底をついていて負担は無理」との声も聞かれましたが、既に多くの州で給付が始まり、コロナ渦新たな仕事が決まらない人々をほっとさせています。
しかしながら、
「一部の州では上乗せ給付が始まっていない」とのニュース報道もあり、州によって状況が全く異なるようなので、各州の失業保険上乗せ給付状況について調査をしてみました。
$300($400)の失業保険上乗せ給付とは?
8月8日にトランプ大統領が新型コロナウイルス追加経済対策として署名したPRESIDENTIAL MEMORANDAM(大統領令)の中の経済対策のひとつで、7月末に失効した失業保険に週$600を上乗せ給付するプログラム代わりに、週$300($400)を上乗せするLost Wages Assistance (LWA)と呼ばれるプログラムです。
$400のうち$300を連邦政府が、残り$100を各州が負担する内容ですが、各州とも財政状況が厳しく、$100の各州負担分に関しては、上乗せでなく通常の失業保険給付からでも良いとしたため、一部の州を除き実際は$300の上乗せ給付となっています。
LWAにはアメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁(Federal Emergency Management Agency: FEMA)から44億ドル(約4.6兆円)の予算が割り当てられ、最高6週間7月末に遡って給付されることになりました。
LWAの受給資格は?
7月末に失効した週$600の失業保険上乗せ給付は、連邦パンデミック失業補償(Federal Pandemic Unemployment Compensation: FPUC)と呼ばれ、通常の失業保険給付で少なくとも毎週$1の給付を受ける個人に対して週$600の給付が行われたのに対して、LWAはパンデミック失業支援(Pandemic Unemployment Assistance: PUA)を含め、週に$100以上の失業保険の給付を受けている人のみが対象となります。
受給方法ですが、州によっても異なりますが、多くの州では特に追加で手続きをする必要はなく、連邦政府の認可が下り財源が割当てされ次第、受給資格者に給付されます。州により1週間分ずつの支給であったり、数週間分まとめての支給であったりします。

州によっても違うので、まだ給付を受けていない人は、お住まいの州の失業保険サイトをチェックしてみてね・・
ちなみに、
わたしの住むカリフォルニア(California)州を例にとると、通常の失業保険申請時に失業の原因が新型コロナウイルスによるパンデミックであったとクレームするチャンスがなかった人だけが、雇用開発局(Employment Development Department: EDD)からのText/Mail指示にて、EDDのウェブサイト上で「失業の原因が新型コロナウイルスによるパンデミックが原因である」ことを、自己承認する必要があります。
上乗せ給付額は週$300 or $400?
トランプ大統領が発動した大統領令は、$400のうち$300を連邦政府が、残り$100を各州が負担する内容ですので、各州が負担する$100分は通常の失業保険に含めるのか、あるいは追加で州が負担するのかは、各州の判断に委ねられています。
コロナ渦財政難に苦しむ多くの州が追加分は連邦政府からの$300のみとする中で、ケンタッキー(Kentucky)州、モンタナ(Montana)州、そしてウエストバージニア(West Virginia)州の3州は、$100を追加して週$400の上乗せ給付を決めました。
残りの州は、唯一LWA申請をしなかっサウスダコタ(South Dakota)州を除いては、週$300の上乗せ給付となります。
各州での給付状況は?
州によって給付の状況が異なっている原因は、各州がFEMAにLWAの申請をしたタイミングとFEMAによる承認日及び各州の処理プロセスのスピードにバラツキがあるためですが、現時点で一部の州を除き給付が始まっており、既に6週間分を給付済みの州も少なくありません。
州 | 給付額 | FEMA承認日 | 給付ステータス | 注記 |
---|---|---|---|---|
Alabama | $300 | 8月21日 | 給付済み(6週間分) | |
Alaska | $300 | 8月23日 | 未給付 | 10月給付となる模様 |
Arizona | $300 | 8月15日 | 給付済み(6週間分) | |
Arkansas | $300 | 8月25日 | 給付中 | 6週間分給付の確約なし |
California | $300 | 8月21日 | 給付済み(3週間分) | 残りは9/28から給付開始予定* |
Colorado | $300 | 8月16日 | 給付済み(3週間分) | 残りは9/25から給付開始 |
Connecticut | $300 | 8月24日 | 給付済み(6週間分) | |
Delaware | $300 | 9月2日 | 給付中(4週間分) | 残りの給付詳細不明 |
DC (Washington DC) | $300 | 9月8日 | 給付済み(4週間分) | 残りも給付予定 |
Florida | $300 | 8月29日 | 給付済み(4週間分) | 4週間分のみ給付の模様 |
Georgia | $300 | 8月23日 | 給付済み(6週間分) | |
Hawaii | $300 | 8月29日 | 給付中(6週間分) | 1週間毎($300)に給付 |
Idaho | $300 | 8月19日 | 給付済み(5週間分) | 5週間分のみ給付の模様 |
Illinois | $300 | 9月1日 | 給付済み(6週間分) | |
Indiana | $300 | 8月21日 | 給付済み(6週間分) | |
Iowa | $300 | 8月15日 | 給付済み(6週間分) | |
Kansas | $300 | 9月7日 | 未給付 | FEMA承認後情報なし |
Kentucky | $400 | 8月21日 | 給付済み(3週間分) | 残りも給付予定 |
Louisiana | $300 | 8月15日 | 給付済み(6週間分) | |
Maine | $300 | 8月25日 | 給付済み(6週間分) | |
Maryland | $300 | 8月19日 | 給付済み(6週間分) | |
Massachusetts | $300 | 8月21日 | 給付済み(6週間分) | |
Michigan | $300 | 8月21日 | 給付中(6週間分) | |
Minnesota | $300 | 8月29日 | 給付済み(6週間分) | |
Mississippi | $300 | 8月22日 | 給付済み(6週間分) | |
Missouri | $300 | 8月16日 | 給付済み(6週間分) | |
Montana | $400 | 8月18日 | 給付済み(6週間分) | |
Nebraska | $300 | 9月9日 | 給付済み(6週間分) | |
Nevada | $300 | 9月11日 | 未給付 | 給付詳細不明 |
New Hampshire | $300 | 8月24日 | 給付済み(6週間分) | |
New Jersey | $300 | 9月3日 | 未給付 | 10月給付予定 |
New Mexico | $300 | 8月15日 | 給付済み(6週間分) | |
New York | $300 | 8月23日 | 給付済み(6週間分) | |
North Carolina | $300 | 8月21日 | 給付済み(6週間分) | |
North Dakota | $300 | 8月31日 | 給付済み(6週間分) | |
Ohio | $300 | 8月26日 | 給付済み(6週間分) | |
Oklahoma | $300 | 8月18日 | 給付済み(6週間分) | |
Oregon | $300 | 8月28日 | 未給付 | 9月中に給付予定(6週間分) |
Pennsylvania | $300 | 8月24日 | 給付済み(6週間分) | |
Rhode Island | $300 | 8月22日 | 給付済み(5週間分) | |
South Carolina | $300 | 9月1日 | 未給付 | 近々給付予定(6週間分) |
South Dakota | $0 | N/A | N/A | |
Tennessee | $300 | 8月22日 | 給付済み(6週間分) | |
Texas | $300 | 8月21日 | 給付済み(6週間分) | |
Utah | $300 | 8月16日 | 給付済み(6週間分) | |
Vermont | $300 | 8月22日 | 給付済み(3週間分) | 残りの給付承認待ち |
Virginia | $300 | 8月26日 | 未給付 | 9月末給付開始予定(6週間分) |
Washington | $300 | 8月24日 | 給付済み(6週間分) | |
West Virginia | $400 | 8月27日 | 給付済み(6週間分) | |
Wisconsin | $300 | 9月1日 | 未給付 | 10月上旬に給付予定(6週間分) |
Wyoming | $300 | 8月28日 | 給付済み(3週間分) | 残りの給付詳細不明 |
カリフォルニア州での給付状況*
多くの日本人も住んでいるカリフォルニア州での給付状況ですが、最初の3週間分の給付が終わり残りの2週間分は9月28日の週から給付開始予定、最後の1週間分も給付の目処が立ったようです。
一方で、
少し嫌なニュースも聞こえてきており、Forbesによると他人の個人情報を盗み、違法にパンデミック失業支援(Pandemic Unemployment Assistance: PUA)を申請する詐欺が横行しているとのことです。
一例を挙げると、San Mateo County刑務所に服役中の21名がPUAを申請し、少なくとも$250,000(約2,600万円)を不正受給したとのこと。
事態を重く受け止めたEDDは、詐欺行為の防止、そして160万件を超えるバックログを有効に処理する新しいプロセスを確立するために、9月20日から10月4日の間新規の失業保険申請を受付けを休止しました。

このEDDのフロントラインの一時休止が、LWAの給付の遅れに繋がらないといいんだけど・・・
おわりに
大統領令が発動された際には批判もあったLWAですが、結局はサウスダコタ州を除く全ての州がFEMAに申請を行い承認を受けました。
現時点で多くの州が既にLWAの給付をしており、Nevada(ネバダ)州やNew Jersey(ニュージャージー)州などの未給付の州でも、基本FEMAの承認は既に下りておりますので、順次給付が開始される筈です。それらの州にお住まいでLWAをお待ちの方は、もう少しの辛抱です。
もし、既にLWAの給付が開始されている州にお住まいで、LWAの給付を待っているにも拘らず未だに1週間分の給付さえ受けていない方は、直ぐに各州の失業保険サイトから連絡をすることをお勧めします。

Oregon(オレゴン)州やGeorgia(ジョージア)州など、一部の州ではSelf-Certification(自己承認)が必要ので、お住いの州の受給資格の確認も忘れずにね・・・
1点ですが、LWAにて給付される失業保険の上乗せ分も、通常の失業保険と同じく課税対象となりますのでお忘れなく。
来週9/28~の週も、共和党と民主党の間で新型コロナウイルス追加経済対策協議が継続されますが、多くの人が待ち望んでいる追加の$1200のStimulus Check(給付金)をはじめ、航空会社救済、中小企業支援、住宅扶助などと並んで、失業保険の追加支援も追加経済対策の大きなひとつになります。
大統領選は勿論大事ですが、新型コロナウイルス追加経済対策を政治の駆け引きに使わずに、本当に困っている人のため、景気回復のため、そしてアメリカ経済の繁栄を継続させるために、与野党の早期合意を強く願っています。

来週中10/2までに基本合意されれば、大統領選前の$1,200のStimulus Check給付も可能だよね。大統領選もあるので、トランプさんとしてもある程度妥協するだろうし、民主党も悪者になりたくないので、何とかなるのでは・・・?
Stay safe and healthy!